寒い夜にトイレに行きたくなって目が覚めた。
その日は後1週間くらいで誕生日を迎える日で、39歳になろうとしていた。
この調子じゃ30代もあっという間に終わっちゃうねと便座に腰掛けながら思っていたら、ふと怖くなった。30代があっという間なら、40代はさらに早く感じるだろうし、50代、60代、年金心配、貯蓄は足りるだろうか・・・、死。である。
既に用は足し終えているのに、なんとなくそのまま寒いトイレで考え込んでいたら人感センサーのライトが消えて真っ暗になった。
僕はでも、時の早さだったり、平均寿命を考えたら人生も後半に差し掛かっている事に驚きはしたものの、暗い気持ちになるだけではなかった。数年前は自分は長生きしないだろうと思っていたけど、年金や老後の心配とかをするようになったんだなと。色々考えるのは面倒だけど、良かったとも言える。
年末は実家に帰った。急に走り出しては止まるを繰り返す、気まぐれで可愛い犬の散歩をしていたら思いっきり足をグネッてしまった。田舎の道は基本的に足元がデコボコしている。
ただの捻挫でしょと湿布を貼ったり冷やして対処していたらだいぶ痛みが引いてきたので、びっこ引きながら東京に戻ってきた。その後普通に仕事もしていたが、痛みが治りきらないので念の為病院に行ったら骨折していた。初めての骨折、初めてのギプス。年始からこれって前厄だからだろうか。
ギプスを巻かれて待合室に戻ったら、おばあさんが席を譲ってくれようとしたので断った。捻挫の治りかけと思って受診しただけなのに、ギプスは大袈裟にも思えた。
ただこれはチャンスとばかりに翌日の仕事は休んだ。おばあさんが席を譲ろうとするような大袈裟なギプスは、仕事を休む口実に使える。