愛しさと切なさとエスプレッソ

パンとマンションが好きな人のブログ

コロちゃん

母からyoutubeのURLが届く。開いてみるとコロちゃんに関する動画である。

コロちゃんの動画はいつも禿げたおじさんが一人語りをするもので、20分くらいの長さがあった。煽るようなタイトルがついていて、固定カメラに向かってソファに腰掛けたおじさんが語っている。冗長でとても20分も見れたものではない。母は禿げたおじさんに傾倒しているのかも知れない。

「あのね、ネットにはデマも多いから気をつけてね。このおじさんは人助けのために動画を撮ってるんじゃないの。アクセスが増えると広告料が発生するの。だからお金のために動画を撮ってるの。アクセスを増やすために煽ってるの。人の不安につけこんで金を稼ごうとしているの。ガン患者に怪しいサプリを高額で売るのと同じように、不安に乗じて金を稼ごうとしているの。つまり最低な事をしているの」

僕の言い方は辛辣だろうか。だけど母は僕の言う事を聞かない。懲りずに再び動画のURLを送りつけてくる。

 

テレビをつければコロちゃんの話題である。日本中ではコロちゃんに感染した人が累計何人です。新規では何人です。うちクルーズ船では何人です。人数だけが変わってニュースは繰り返される。なんだかしつこくて母が送りつけてくるyoutubeみたい。

総武線ではコロちゃん対策として時差通勤や在宅勤務を推奨するアナウンスが流れる。

僕は医療系の端っこのような仕事をしているから時差通勤も在宅勤務もできない。外出を自粛するように言われても必ず電車に乗って通勤する必要がある。同じように定時出勤せざるを得ない人たちが8時20分の総武線に乗り、項垂れているところに空っぽのアナウンスが響いているだけである。

 

職場の最寄駅につくと走ってどこかに向かう人たちがいて、その人たちが向かう先はドラッグストアである。何件もドラッグストアが並ぶ職場の最寄駅には、その数だけの行列ができ、列を作る人は皆マスクをしている。東南に伸びる商店街。冬の朝日は眩しい。