愛しさと切なさとエスプレッソ

パンとマンションが好きな人のブログ

陳腐なLINE

給料は皆一律で昇給無し。

まじでやる気を削ぐ(元々無いが)待遇の会社にうっかり、というかほとんど騙されて入社してから1年。

辞めたい気持ちをドラゴンボールでいう元気玉の要領で僕の内から集めたら1つの市が吹き飛ぶくらいの強さだと思う。

こじんまりした会社の従業員は社長の元同僚だったり友達だったり。広く社員を募集するような所ではない。僕も倒産した先の会社にバイトに来ていた人に誘われたのである。僕を誘ったのは社長の叔父の知り合い。

「昇給もしないのによく何年も続けられるよね」

僕は常々そう思っていた。そしてそろそろ辞めようと思っていた矢先、コロちゃんが流行した。

 

先日社長がくちゃくちゃに開封したレターパックを休憩室に置いて帰ってしまった。くちゃくちゃになったレターパックはゴミかと思ったら中に書類が入っていた。僕はその書類から待遇が一律ではないことが分かってしまった。

社長の元同僚や、元上司は、予想はしていたけれど優遇されていた。なるほど、やっぱりそうだよね。そうやって優遇してもらってたのね。なぜ昇給無しなのになぜ勤続している人がいるのか。その謎が解けてスッキリしたよ。絶対ゆるさない。

 

職場は川に近い。

昼休みにスーパー堤防の上に立った。頑丈そうな鉄橋があり、その上を電車が走って川の向こうに消えていく。土手には犬を連れて散歩させる人。ベンチで談笑する人がいた。僕はなんだか、色んなことがやり直せない年齢になってしまったなと思った。

 

僕は彼氏に職場の待遇への不満を、社長への怒りをラインした。

彼氏の返信は正論だった。他人宛のレターパックは見るなとか、キャリアパスを描いてとか、そんなことが書いてあった。それはひどく正論で、僕が欲しいものじゃ無かった。欲しかったのは「それは酷いね」とか「辛かったね」とか、そんなものだった。寄り添って欲しいだけだったし、いくらでもやり直しができるような感覚にさせて欲しかった。

 

僕は10年以上同じ業界で働いていて、今でも自分の仕事に自信が持てない。

もうコンプレックスと言っていいほどに自分の仕事が恥ずかしい。何故なのかはよく分からない。僕が単に元来労働が嫌いなだけかも知れない。彼氏の言うキャリア形成が僕の場合は何なのかも分からないまま10年以上経過し、そして海抜ゼロメートル地帯の土手で途方に暮れているのだ。

キャリアパスとか興味無いんよ」

そう彼氏にLINEを送り、後に送信を取り消した。